卯の花くたしの意味とは?その時期や由来について 同じような意味を持つ言葉もご紹介します
卯の花くたしとは、卯の花の咲いているころに降りつづく長雨のことです。このくたしとは腐しと表すことができます。
この卯の花くたしがやってくる時期とはいつなのか?どんな由来があるのか?
そもそも卯の花ってどんな花だったっけ?
この言葉にまつわる様々な疑問のこたえを1つずつ順を追ってご紹介します。
スポンサーリンク
目次
そもそも卯の花ってどんな花?咲く季節は夏?時期はいつ頃?
卯の花は、ユキノシタ科ウツギ属(※)のウツギ(空木)の花のことで、枝の中がすぐに中空になり空洞化する為、空木と呼ばれています。
開花時期は五月中旬~六月頃の初夏で、白く清々しい花を咲かせるのが特徴です。
旧暦の四月(卯月)ころに咲くことからこの名がついたともいわれています。
小さい白い花が枝いっぱいに咲くさまが平安時代には「雪かとまがう」と形容され、古来より「白さ」をあらわす言葉として用いられました。
(※)ウツギ属(空木属)とは、アジサイ科の属の一つで、花弁は5個あり、主に白色で、ほかに淡紅色・淡紫色があります。落葉まれに常緑の低木で、植物全体に放射状に伸びた毛を持つ植物です。
卯の花くたしの意味とは?その言葉の由来とは?時期についても知りたい

卯の花くたしとは、卯の花の咲いている時期に降り続く長雨という意味になります。
この言葉が使われる時期は、卯の花の開花時期同様、5月中旬から6月上旬の初夏になります。
この言葉ができた由来として、卯の花+くたしという日本語がかけ合わさっており、この「くたし」は「腐し」といい、読み方でいうと「ぐたし」ともいいます。
この聞き慣れない「くたし」とは、古語の動詞「腐す」(くたす)の連用形で、①(物を)腐らせる、②(ある対象者を)気落ちさせるという意味になります。
春が終わりに近づき夏がやってくる素晴らしい時期でキレイに咲いた卯の花を、長雨が降り続けることによって腐らせてしまうという意味合いから、この卯の花くたしという言葉ができました。
また、卯の花は初夏の訪れを告げるような白く可憐な花びらを持つお花で、古くから季語以前に万葉の頃から季節感を表す言葉として使われていました。
⇨卯の花の過ぎば惜しみか霍公鳥雨間も置かずこゆ鳴きわたる
大伴家持『万葉集』 など。
スポンサーリンク
卯の花くたしのように長雨を表す日本語とは?

卯の花くたしのような長雨を表す言葉として、「五月雨(さみだれ)」があります。
五月雨とは、旧暦5月に降る長雨のことで、卯の花くたしの別名でもあります。
また、毎年やってくる「梅雨(つゆ、ばいう)」
も、6月から7月上旬にかけて長く降る雨のことを指します。梅の実が熟す時期に降るこからこの名前が付けられたそうです。
ほか、「菜種梅雨(なたねづゆ)」も同じく長雨を意味し、菜の花が咲く頃に降る長雨という分類になる為、卯の花くたしの一足前にやってくる雨を指しています。
この菜種梅雨は、春霖や春雨ともいいます。
(→興味のある方はこちらもご覧ください。春霖の意味や時期とは?季節毎に一日中雨が降る様子をなんて言う?)
卯の花を使った言葉って他にもあるの?その言葉の意味とは?

卯の花曇り 【うのはなぐもり】
陰暦四月頃の曇り空のこと。
卯の花縅【うのはなおどし】
縅とは日本の甲冑の一種。純白の絹を編んで作られた物を卯の花と呼び、白一色に縅したものことを意味する。
江戸時代では、白と萌黄の二色を用いたものをいう。
卯の花苑 【うのはなえん】
住吉大社の境内の一画にある卯の花畑のこと。1987年に造設され、約25種類、500株の卯の花がある。
卯の花垣【うのはながき】
ウツギを植え込んだ生け垣。うのはな垣根。
卯の花色【うのはないろ】
花色(うのはないろ)とは、卯の花のようなわずかに黄みがかった白色のこと。平安時代からの伝統色名で、「雪かとまがう」と形容され、古来より「白さ」をあらわす言葉として用いられた。
陰暦四月頃の曇り空のこと。
卯の花縅【うのはなおどし】
縅とは日本の甲冑の一種。純白の絹を編んで作られた物を卯の花と呼び、白一色に縅したものことを意味する。
江戸時代では、白と萌黄の二色を用いたものをいう。
卯の花苑 【うのはなえん】
住吉大社の境内の一画にある卯の花畑のこと。1987年に造設され、約25種類、500株の卯の花がある。
卯の花垣【うのはながき】
ウツギを植え込んだ生け垣。うのはな垣根。
卯の花色【うのはないろ】
花色(うのはないろ)とは、卯の花のようなわずかに黄みがかった白色のこと。平安時代からの伝統色名で、「雪かとまがう」と形容され、古来より「白さ」をあらわす言葉として用いられた。
卯の花と聞くとおからを思い出す?卯の花とおからって同じなの?

おからと卯の花の違いを知っていますか?
私は小さい頃、卯の花という原材料からおからが作られると認識しており、大人になってからおからは豆腐から作られるもの知って混乱した記憶があります。
全く別物なのに、卯の花と明記しておからを売り出すことにはどんな意味があるのか、その違いを調べてみました。
まずおからとは、豆腐を作るときに豆乳を絞って出たかすのことです。
おからの「から」には、「空っぽ」や「中身のない外皮」という意味があり、絞りとった残りの状態からついた名で、この名を表す名称を隠すためにできた名前だとされています。
不消化性の食物繊維が多い他、大豆中の油、ビタミンB1、タンパク質、糖質なども一部残っています。
昔は「きらず」「卯の花」「雪花菜」などと美しい名前で呼ばれていました。
従って卯の花は上記の通り花の一種のため、おからと全く別物だということがわかりました。
しかし、現代でも卯の花とスーパーで売られている理由が2つあります。
一つは、生垣に植えられている卯の花に形状が似ているところから、卯の花と呼ばれたとされています。
2つ目に、昔の人がおからを卯の花の花畑のように見立ててこの名を付けたとされています。
卯の花が白い小さなお花をたくさん咲かせる様子から、おからを色付ける前の白い状態を連想したのでしょう。
もともとおからは御殻として呼ばれていましたが、おから=お空のように聞こえることが、昔の人達にとって聞こえが良くないという思いに至ったとされています。
ちなみに、おからのカロリーは100gあたり 110Kcalで、これは「生おから」と呼ばれるもの限定の数値になります。
水分を飛ばしてパウダーにしたものの場合は、100gあたり200Kcal程になります。
豆腐と比べると100gあたりのカロリーは高くなりますが、おからには食物繊維が豊富な為、少しの量でお腹が膨れるメリットもあります。
いかがでしたか?
これから卯の花くたしが始まる初夏の季節を楽しみに待ちましょう!